地元の作家を伝える・作品を残す―藤井軍三郎(広島県福山市)―
2025/07/11
額縁の中にはらはらと落ちる絵具片。作者は、藤井軍三郎(明治43~平成18) 広島県福山市に生まれ、鞆の浦の風景を多く描いた作家さんである。
作品を立てて写真撮影をすることが難しいほど絵具の剥離が進んだ80号 油彩画。 鞆の浦にある作家宅の庭を描いた作品である。
■斜光照射写真 画面上部分の広範囲に絵具の剥離・剥落が生じている。 キャンバスから剥離した絵具層は、くるりと反り返りいつ剥がれ落ちてもおかしくない状態である。
■修復前【画面上中央部分】 作品裏面上部には水にぬれた跡がある。それは、絵具の剥離剥落が一番ひどい場所と合致する。
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■修復後
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社会福祉法人 にこにこ福祉会様の事業所入口ロビーに飾られていたこの作品。 故 藤井軍三郎氏に寄贈いただいたものの、年々進む絵具の剥がれに心が痛んでいたとおっしゃる理事長様。 「これで私の気になっていた仕事が一つ終わりました。」とほっとされた笑顔に事業所の職員さんたちの表情も和む。
一番ホッとされたのは修復をコーディネートされた株式会社 まみむのイエ 八木さんかな? 建築業を営みながらも自身も日本画を描き、美術品の修復にも熱い想いを語る。 お隣の県、広島県にも地元の作家さんを愛で、残そうとする方がいる。