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額縁の損傷

額縁は油彩画を華やかに引き立てる役割の他に、もう一つ重要な役割を担っています。「油彩画を大切に守る役割」です。

古くから額縁は油彩画と共にあり、油彩画を華やかに引き立てるものでした。
それから、イタリアの教会の3m、4mといった大きな宗教絵画を見ると、それぞれの教会の厳か、あるいは豪奢な雰囲気と油彩画を、額縁がなじませている…そんな気がします。

一方、展示変えや移動の機会が多い油彩画の額縁は、「油彩画を引き立てる・展示環境と油彩画を調和させる役割」の他に、「油彩画を守る役割」も担っています。

傷んだ額縁、「なんだか古臭いな…変えてしまおう。」その前に修復もご検討ください。

1.額縁の損傷事例

額縁も経年の風格を残しつつ、損傷を修復することが可能です。

 
額縁の大まかな構造は下層から、
支持体(木質枠)≫ 地塗り層(石膏または胡粉)≫装飾部(石膏または胡粉、最近では樹脂製)≫ 彩色・金箔層 ≫ ニス・古色層 で構成されています。
油彩画と同じく、それぞれの部分に生じた損傷や問題を修復することで、古い額縁もオリジナルの風格を残すことができます。
当て傷
当て傷
額縁は、作品の展示中、作品の掛け替え時、運搬時、保管中の予期せぬ衝撃から油彩画を守っています。
装飾層の欠損
装飾層の欠損
額縁の装飾部分は、木彫、石膏、最近は樹脂で作られているものもあります。
石膏で作られた装飾部分は、長年の扱い次第で欠けてしまうこともあります。
箔剥がれ
箔剥がれ
額縁の金色は、箔(本金箔・真諭箔等、多種あり)を貼っている場合、金泥(または金色塗料)の場合があります。
どちらの場合も、擦れなどにより剥がれを起こすことがあります。
角の開き
角の開き
額縁の枠のつなぎ目である「額縁の角部分」は、額縁の一番デリケートな部分です。
接着不良、枠木材の反り、長年の衝撃により、角の開きが起こっている額縁は結構多いものです。

2.古い額縁に見られる問題

油彩画をよりよく保存・展示できる額縁であるために、古い額縁に必要なこと。

 
作品をよりよく保護し、鑑賞させる役割を古い額縁に持たせるためには、チェックしなければならないポイントがあります。
作品を飾る場所・保管する環境に応じて、最適な機能を古い額縁に持たせましょう。
画面保護アクリル・裏板がない
画面保護アクリル・裏板がない
古い額縁には、画面保護アクリルや裏板がなく作品が外気の影響や外傷・汚れを受けやすい状態であることが多い。
額縁と作品の留め方の問題
額縁と作品の留め方の問題
作品と額縁を「釘」で留めていませんか?
とても不安定な留め方であるだけでなく、釘の錆びはキャンバスももろくしています。
どろ足がない・低い
どろ足がない・低い
額縁裏面の油彩画の側面を保護している立ち上がり部分を「どろ足」といいます。どろ足が傷んでいたり、作品厚みよりもどろ足高さが低く、作品側面が傷んでいる作品も見受けられます。
吊り金具・吊り紐は大丈夫?
吊り金具・吊り紐は大丈夫?
額縁の裏にある吊り金具があまりにも作品に対して小さくはないですか?
金具に錆はないですか?
古い額には、吊り紐代わりに針金が使われている場合があります。古くなり錆びてしまった針金は、とてももろくなっています。
 
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